H-1Bビザについて知っておくべきこと

更新日 11/16/2023

ビザとは一般的に、米国へ入国しようとしている外国人にのみ、利益があるものだと捉えられがちです。しかし実際には、ある特定のビザは、既に米国に在住している方や米国人雇用主に対しても、利益をもたらすことがあります。

そのようなビザの一つに、H-1Bビザ(また、時には「H1Bビザ」と表記されることもあります)があります。 H-1Bビザの下では、特定の外国人労働者は、米国の雇用主の下で働くことができ、米国への入国、在住が可能となります。それだけでなく、H-1Bビザにより、米国の雇用主が自らのビジネスのために外国人労働者を雇うことができるようになり、両者への利益をもたらします。

H-1B visa

この記事では、H-1Bビザについて知るべき、基本的な情報をご案内します。

具体的には:

1. H-1Bビザとは?

H-1Bビザとは何かを理解し、他のビザとの違いもよく理解することが重要です。

まず、H-1Bビザは非移民ビザです。よって、H-1Bビザはグリーンカードに相当するものではありません。ビザ保有者に対して、永続的に米国内で働く、または永続的に居住するための権利を与えるものではありません。代わりに、米国で働くための一時的な権利(以下に説明するように、一般的に3年間、6年間まで延長可能)を保有者へ与えるものです。しかし、H-1Bビザ保有者は、H-1Bビザと同時にグリーンカードを個別に申請することができます。

第二に、H-1Bビザは、具体的には雇用関係に基づいて発行されます。他のビザとは異なり、家族関係などに基づいているわけではありません。

第三に、H-1Bビザを取得するには、申請者はスポンサーとなる雇用主が必要です。スポンサーとなる雇用主無しでは、H-1Bビザを自分で申請することはできません。さらに、H-1Bビザは米国で働くための一般的な権利ではなく、特定のビザスポンサーとなる雇用主のみのために働くことのできるビザです。(後述するH-1Bトランスファーと関連します。)

2. 3つのH1Bビザの適正

H-1Bビザ取得のためには、3つに分類される以下の適正を満たしている必要があります。

まず、もしあなたが”専門職業”として、特定のサービスを提供している場合には、H-1Bビザ申請の適正を満たしていると言えます。

米国市民権移民サービス(”USCIS”)によると、専門職業と見なすためには、(a)高度に専門化された知識体系の理論的および実践的応用、および(b)米国で職業に就くための最低条件として、特定の専門分野(または同等の分野)での学士号以上の学位を取得していること。が条件とされています。

H-1B専門職業には、建築、工学、数学、物理科学、社会科学、医学と健康、教育、ビジネス専門、会計、法律、神学、芸術などの分野を含みます。

この H-1B ビザの最初の分類 (「H-1B 専門職」ビザとして知られています) の資格を得るには、専門職におけるあなたの職位が次の基準のいずれかを満たす必要があります。:

  • 学士またはそれ以上の学位、またはそれと同等の学歴を保有していることは、通常、専門職業内の特定の職位に就くための最低要件である。;
  • 学位要件は、類似した組織内の同職位に就くためには、その業種内では共通したものであるとする。または、その仕事自体が非常に複雑またはユニークであるために、その学位を持つ個人のみが実行できるものであるとする。;
  • 雇用主は通常、その地位の学位または同等の学歴が必須とされる。
  • その特定の職務は、非常に専門的で複雑であるため、それを遂行するために必要な知識は、通常、学士号以上の学位の取得があってこそ為されるものであるとする。

さらに加えて、H-1B専門職業ビザの下、その専門職業にて職務を実行するためには、次のいずれかの基準(総称して”受益者資格”)を満たす必要があります。:

  • 認定された専門学校または大学からの、その専門職業に必要とされる米国の学士号またはそれ以上の学位を保持していること。;
  • 認定された専門学校または大学からの、その専門職業に必要とされる米国の学士号またはそれ以上の学位に相当する外国の学位を保持していること;
  • その専門職を実践し、意図した雇用状態でその職務に直ちに従事することを許可する、制限の無い州免許、登録、または認定書を保持していること;、または
  • 教育、専門的な訓練、および/または専門職における米国の学士号またはそれ以上の学位の修了と同等の経験を保持しており、専門分野に直接関連する責任ある職務を通じて、専門分野の専門知識を保持していること。

第二に、国防総省 (「DOD」) の共同研究開発プロジェクトに関連して、優れたメリットと能力を備えた特定のサービスを提供している場合には、H-1B ビザの資格を得ることができます。

USCISによると、H-1Bビザ(”H-1B2DOD研究者と開発プロジェクト労働者”ビザとして知られている)のこの第二のカテゴリの対象となるためには、サービスを提供する職業分野で、学士号以上の学位または同等の学位を取得している必要があります。この要件は通常、上記の受益者資格のいずれかを保持していることで満たすことができます。

さらに、H-1B2 DOD 研究開発プロジェクト従事者ビザの申請書には、以下を添付する必要があります。(1) ビザの受益者が、国防総省が管理する相互の政府間協定に基づく研究開発プロジェクトまたは共同制作プロジェクトの協力者として働くことを示す、プロジェクトマネジャーからの申請書、(2) 特定のプロジェクトに関するビザ受益者の職務内容の説明、およびプロジェクトにおける受益者の実際の雇用日、および (3) 米国で現在プロジェクトに雇用されている非米国市民の名前と雇用日、およびプロジェクトでの雇用が過去 1 年以内に終了した非米国市民の名前を示す声明。

第三に、際立ったメリットや能力を持つファッションモデルも、特定のサービスを提供している場合、H-1B ビザの資格を得ることができます。

USCIS によると、H-1B ビザのこの 3 番目のカテゴリー (「H-1B3 ファッションモデル」ビザとして知られています) の資格を得るには、あなたの職位とサービスが、著名なファッションモデルであると証明する必要があります。

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3. 最初のH-1Bビザの申請

H-1Bビザを申請するプロセスを理解するためには、まず”H-1B上限”、”H-1B抽選”、”H-1B登録”の三つを理解する必要があります。

H-1Bの上限

H-1B の上限とは、H-1B ビザには一定の年間数値制限があるということです。

第一に、各会計年度(すなわち、10月1日から翌年9月30日まで)ごとに、65,000までの新H-1Bビザ発行(「通常の 65,000 H-1B キャップクォータ」)、という一般的な年間制限があります。

第二に、米国の修士号以上の学位を取得した申請者のために、会計年度ごとに20,000までの新H-1Bビザの発行、という上限があります。(「追加の 20,000 修士号 H-1B 上限クォータ」)

高等教育機関、高等教育機関に関連する非営利団体、および非営利または政府の研究機関は、これらH-1B上限を免除されています。

さらに、チリ、シンガポールと米国との米国自由貿易協定に基づき、各会計年度につき6,800のH-1Bビザは、H-1Bの上限から免除され、チリとシンガポールの市民に毎年割り当てられています。

H-1Bの抽選

H-1B抽選とは、H-1B上限内で、ビザを申請者に割り当てるためのプロセスです。H-1B 抽選は、通常の 65,000 の H-1B キャップクォータと、追加の 20,000までの修士号の H-1B キャップクォータの下で割り当てられるビザの総数上限よりも、より多くの H-1B 申請者がいる場合に問題が発生します。

USCISでは、H1B抽選のために、コンピュータ生成されたランダムな抽選プロセスを使って抽選を行います。最初に、通常の 65,000 H-1B キャップクォータに従ってスロットを埋め、次に、追加の 20,000 修士号 H-1B キャップクォータに従ってスロットを埋めます。

H-1B登録

H-1B登録とは、雇用主がH1B抽選に参加するための方法です。

雇用主は、USCISでまず電子登録を行い、H-1Bビザのスポンサーをする従業員を登録するために、従業員一人あたり$10の手数料を支払います。

H-1Bの登録は、H-1B抽選の対象登録期間中に完了をさせる必要があります。例えば、2022年度のH-1Bの登録期間は2021年3月9日から2021年3月25日でした。

H-1B登録とH-1B抽選の後、USCISは、当選した全ての登録者に対してH-1Bビザの申請手続き方法を含む、電子”当選通知”を送付します。

H-1B抽選で選ばれた場合、H-1Bビザを申請するために、次の三つのステップに従う必要があります:

  1. )H-1B専門職業ビザおよびH-1B3ファッションモデルビザ申請の最初のステップは、まず雇用主が労働省 (DOL) に労働条件申請書 (LCA) の証明書を申請し、取得することです。

LCAの下、雇用主は以下の労働要件を遵守することを証明する必要があります。:

  • 雇用主は、H-1B 労働者に、同様の資格を持つ労働者に支払われる賃金と少なくとも同等の賃金を支払うか、H-1B 労働者が働く地理的地域での一般的な賃金よりも高い賃金を支払うものとします。
  • 雇用主は、同様に雇用されている他の労働者に悪影響を及ぼさない労働条件を提供するものとします。
  • LCAの時点では、雇用場所でのストライキやロックアウトはないものとします。
  • DOL への LCA の提出の通知は、組合交渉代表者に手渡されているか、雇用場所に掲示されているものとします。
  1. )第二のステップは、雇用主がUSCISにフォームI-129、”非移民労働者のための請願書”を提出することです。
  2. ) 第三のステップは、フォームI-129が承認された後、米国外にいるH-1B労働予定者は、(a) H-1Bビザのために海外の米国大使館または領事館で米国国務省に申請する必要があり、(b)10月1日の10日前からH-1B分類で米国に入国するために、米国税関および国境保護を申請する必要があります。既に米国内に在住していて、I-129承認通知にI-94カードが記載されている人の場合、10月1日または承認日のいずれか遅い方から、そのステータスがH-1Bに変更されます。

最初の H-1B ビザを取得するためには、上記の 10 ドルの登録料に加えて、通常、フォーム I-129 の申請料として 460 ドル、さらに 750 ドル (雇用主が 26 人もしくはそれ以上のフルタイム従業員を抱えている場合は 1,500 ドル) のトレーニング費用。加えて、500 ドルの詐欺防止および検出費用に加えて、50 人を超える従業員を持ち、半数以上が H-1B または L-1 ビザのステータスにある雇用主の場合は、追加で4,000 ドルの費用がかかります。 $2,500 のプレミアム処理料金 (15 日間でのビザ手続き処理期間が保証される) を負担するオプションもあります。

H-1Bビザ保有者の配偶者および21歳未満の未婚の子供は、H-4ビザの分類の下で米国への入国が可能となります。

4. H-1B延長

最初のH-1Bビザは、一般的に3年間有効です。その後、H-1Bビザを更に3年間を延長し、合計6年間に増やすために、H1B延長を申請することができます。

新しいLCAと新しいフォームI-129を準備し、H1B延長のために提出する必要があります。 H1B延長には、H-1B の上限、H-1B抽選、およびH1B登録のプロセスは必要ありません。H-1B延長は、移民局の処理時間を考慮して、できるだけ早く申請する必要がありますが、最初のH-1Bビザの期限満了の6ヶ月よりも以前に申請を始めることはできません。

5. H-1Bトランスファー

H-1Bビザの期間中に転職した場合にはどうなるのでしょうか? H-1Bのトランスファーが役立つ可能性があります。

H-1Bトランスファーのためには、転職先の新しい雇用主が新たなH-1Bスポンサーとなる必要があります。あなた自身でH-1Bトランスファーを行うことはできません。

以前の雇用主はH-1Bの譲渡に同意する必要はありませんが、新しい雇用主に異動する前に、以前の契約上の義務および競業避止義務をすべて満たす必要があります。

さらに、当然ながらH-1Bトランスファーのために、H-1Bビザの条件のいずれかに違反したり、米国で違法行為を犯したりすることは厳禁です。

H-1Bトランスファーに際して、H-1B上限免除雇用主からH-1B上限対象雇用主への移転となる場合には、H-1B抽選を経る必要があります。

DYgreencard.com では、最初の H-1B ビザ、H-1B 延長、および H-1B トランスファーの取得は勿論ですが、あなたの質問に答え、H-1B ビザのプロセスをより適切にナビゲートするのに役立つ、あなたの心強い情報源となります。

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